広告

セミンゴの特徴

 f:id:sundrivertakuya:20150803134138j:image

セミンゴ

  • 1匹いたら、絶対10匹いる。2匹いたら、20匹。(2匹いたとしても10匹のうちの2匹ということはない。)
  • 内壁が鏡張りの立方体の部屋に、縦に3匹、横に3匹、3×3の並びで9匹がみっちり詰まって直立不動のまま棲んでいる。隙間はほとんどない。
  • 9匹は同じ方向を向いていない。上からその部屋を見下ろし、平面として表すなら、1番左下にいるセミンゴは上を向いている。その上のセミンゴも上を向いていて、さらにその上、つまり部屋の左上のセミンゴは右を向いている。右隣、つまり上から見て真ん中の1番上にいるセミンゴは下を向いている。その下のセミンゴは下を、さらに下のセミンゴは右を、右隣のセミンゴは上、その上は上、その上も上を見ている。彼らの視線の方向に線を引いていくと、「N」の字が描ける。
  • もちろん、セミンゴは生きている。
  • 部屋の中ではぎゅうぎゅう詰めであるがために移動こそできないが、手を動かすことはあるし、よく足踏みもする。
  • 昆虫ではないが、節足動物の一種。
  • 蝉の仲間ではない。
  • 外形は、水のしずくを逆さにしたような形。
  • 足が生えている。左右4本ずつ、合わせて8本。カブトムシなどの甲虫につく肢に似ているが、それよりも少し短い。
  • 色は全身、銀色。メタリックと表現する方が相応しいかもしれない。光沢のあるメタリックで、銀色の車のボディとほぼ同じ。
  • 触り心地も似ていて、指で叩けばかつんかつんと音が鳴る。
  • 昔、イギリスのロックバンドが、my metalic semingo という曲を歌ったが、まさにそのセミンゴ。
  • 顔には大きな目がついている。一番分かりやすい喩えは、ウルトラセブンに登場したメトロン星人の顔。酷似している。
  • 体長は3メートルほど。
  • 体重は個体差があるものの、おおよそ100キログラム。背丈の割に軽いのは、おそらく体内に空洞があるから。
  • セミンゴはほとんど鳴かない。鳴かないし、泣かない。
  • 耳をセミンゴの口元に近づければ、きゅきゅ、と靴で床をこするような音はするが、気を抜いていると聞き逃してしまう程度のもの。
  • セミンゴは10匹1セット。
  • 3×3の巣にいるセミンゴの他にもう1匹、別なセミンゴがいる。この1匹は巣の外、我々の目にする居住空間をうろつき回っている。外で餌をさがしている。
  • 好物は樹液だが、空腹時には埃や黴で腹を満たすとも言われている。
  • 外では排便もする。
  • 外にいたセミンゴが扉から巣に戻ってくる。これは上から見下ろした図面で言えば、巣の左下から、上に向かって入ってくる。そして、ぎゅうぎゅう詰めの巣の中に押し入ってくるから、仲間を押し出す形になる。押されたセミンゴは、自分の前にいるセミンゴを押す。するとそのセミンゴも押されて、前に移動する。つまり、それぞれが視線を向けている方角に向かい、まさに上から見れば、「N」字を描くように、移動を始める。ところてんが押し出される方式で、最終的に一番右上のセミンゴが、今度は外の1匹となる。
  • 巣の外の1匹が死ぬと、巣の中で途端に新たなセミンゴを作り出す。3×3の中でこっそりと2匹が交尾をし、そしていつの間にか、新たなセミンゴが出現する。すると巣の中から1匹が押し出され、外に出る。
  • セミンゴは飛ばない。走る。100メートルであれば、6秒台。もちろん、加速し、勢いが乗ってくるとさらに速まり、最終的には時速80キロはでる。
  • セミンゴは友好的だった。害虫が益虫かで言えば圧倒的に益虫だったが、急に変化が起きた。攻撃的になって、人間と人間の文明物を破壊しはじめた。
  • 数ヶ月で町を荒野にしてしまった。